こんにちは、うえしゅうです。
FMCの解法であるDRは以下のようなステップで行われます。
EO -> RZP -> DR -> HTR ( -> FR ) -> Leave Slice -> スライスインサート
このうちEOからRZPを作るまでのステップについての基礎的な知識を解説します。
DRトリガーとは、回すことでDRが完成する特定の手順のことを指します。
一般に使われるDRトリガーは次の4つです。
DRでは、EOが完成したあとどうにか頑張ってDRトリガーの配置に持っていき、DRトリガーを回すことでDRが完成します。
やってみるとわかりますが、EO完成からDRトリガーの配置に持っていくのはとても難しいです。
そのため、まずはDRにおけるbad edgeの個数とCOの個数をDRトリガーと同じになるよう調整をし、その後にその個数を変えずにDRトリガーにセットアップする手法が主に用いられています。
この「EOから上記個数をDRトリガーと同じになるようにするまで」のステップをRZPと呼びます。
RZPの手数はEOの手数によって変える必要があり、EO+RZPが5手以下もしくは6手以下(初心者の場合6手以下が推奨)となるようRZPの手数を決めます。
各DRトリガーのbad edgeの個数とCOの個数は以下のようになっており、EO後はまず数手でこの個数を目指します。
DRトリガー | bad edgeの個数 | COの個数 | RZPの呼び方 |
---|---|---|---|
R | 4個 | 4個 | DR-4e4c |
R U2 R | 2個 | 4個 | DR-2e4c |
R U R | 2個 | 3個 | DR-2e3c |
R U' R | 2個 | 3個 | DR-2e3c |
なぜEOから直接DRを作るのは難しいがRZPを経由すると難しくないのか、それはbadパーツの個数の固定化・RZP後の回転制限、が大きなポイントになります。
例を見てみましょう。
Scramble: R' U L2 U' L'
FB軸のEOが揃っています。また、COの個数が7個、bad edgeの個数が8個(UD面に4個、E列に4個)あるため、この状態はDR-8e7cとわかります。
このままではどのDRトリガーともbadパーツの個数が違うため、個数を合わせる必要があります。
Lをしてみて、もう一度badパーツの個数を確認してみましょう。COの個数が4個、bad edgeの個数が4個となっておりDR-4e4cであるため、RというDRトリガーとbadパーツの個数が同じになりました。これがいわゆるDR-4e4cのRZPです。
さて、ここからR状態にセットアップするのですが、ここでEO後における回転の法則をお教えします。
つまり、badパーツの個数を調整してRZPにしたあとに[U, D, R2, L2, F2, B2]のみでセットアップすれば、badパーツの個数を変えずにDRトリガーへセットアップが可能なのです。
今回の場合でいうと、RZP状態からU L2 U’というセットアップをすることで、badパーツの個数を一度も変えることなくRというDRトリガーにセットアップができました。
結論としては、DRを作るためにRZPを経由するのは、badパーツの個数を早めに固定しその個数を壊さないようにDRトリガーに持っていく手法が人間にとって比較的楽な手法だったからです。
先述の通り、RZPの手数はEOの手数によって決まり、EO+RZPが5手または6手以下になるようにRZPの手数を決めると説明しました。ここでは初心者向けにEO+RZPを6手と定めましょう。
EOの手数の出現確率はだいたい以下の通りです。
このうち4手と5手が使う頻度が最も多いです。
4手の場合はRZPは2手以内、5手の場合はRZPは1手以内となります。以内と言っているので、1手以内なら0手でも1手でもいいというわけです。
それぞれの場合のRZPの探し方を説明します。
FB軸EOで考えたとき、DRはUD面DRとRL面DRの2パターン考えられますが、EO後の状態がすでにUD面もしくはRL面においてbadパーツの個数がDRトリガーと同じであれば、それはすでにRZPです。おめでとうございます。
FB軸EOで考え、EOの最後はFで終わったとします。
このとき、UD面DRを作る際のbadパーツはRもしくはLによって個数が変わり、他の回転では個数は変わりません (FもしくはBではEOが崩れてしまうのでもちろん除外)。これは先程も説明しましたね。
また、RL面DRを作る際のbadパーツはUもしくはDによって個数が変わり、他の回転では個数は変わりません。
このように、badパーツの個数を変える1手の動きは4種類あるので、これらすべてを確認する必要があります。
さらに、FB軸EOの最後の回転であるF or Bは逆回転も同じくEO手順としてカウントできます。つまり、F2 R, F2 L, F2 U, F2 Dも1手でbadパーツの個数を変える動きと考えられるのです。
まとめると、以下の回転が1手RZPの可能性を持つ回転であり、これらすべてを確認する必要があります。
R, L
U, D
F2 R, F2 L
F2 U, F2 D
ここでもFB軸EOで考え、EOの最後はFで終わったとします。
UD面DRにおいてRZPが2手の動きを探す場合、基本的な考え方は「U/Dを回してからR/L」です。
RとLはbadパーツの個数を変える動きと説明しましたが、UやU2, U’をしてからRなどを回すとR回転に関わるパーツ群が変わり、badパーツの個数も違う個数になったりするのです。
また同様にRL面DRでは「R/Lを回してからU/D」が基本です。
また、この考えとは別の2手RZPが2種類存在します。
1つ目は、EOの最後がFの場合、B2 R, B2 L, B2 U, B2 Dが2手RZPとしてあり得ます。
2つ目は、R L, U Dという動きも2手RZPになり得ます。
さらに1手RZPのときも説明した通り、EOの最後を逆に回す、つまりF2してから上記2手RZPを回すといった回転も同様に2手RZPになり得ます。
まとめると、以下の回転が2手RZPの可能性を持つ回転です。
U R, U2 R, U' R
U L, U2 L, U' L
D R, D2 R, D' R
D L, D2 L, D' L
R U, R2 U, R' U
R D, R2 D, R' D
L U, L2 U, L' U,
L D, L2 D, L' D
B2 R, B2 L, B2 U, B2 D
R L, U D
F2 U R, F2 U2 R, F2 U' R
F2 U L, F2 U2 L, F2 U' L
F2 D R, F2 D2 R, F2 D' R
F2 D L, F2 D2 L, F2 D' L
F2 R U, F2 R2 U, F2 R' U
F2 R D, F2 R2 D, F2 R' D
F2 L U, F2 L2 U, F2 L' U,
F2 L D, F2 L2 D, F2 L' D
F2 B2 R, F2 B2 L, F2 B2 U, F2 B2 D
F2 R L, F2 U D
Scramble: R' U' F U' F' D L2 D' L2 U R2 B2 F2 U' L2 D' R B' R' D' L2 B' U F2 R' U' F
EO: B R2 U' B
4手でFB軸EOができました。EO+RZPを6手と決めているので、ここから0手RZP、1手RZP、2手RZPを順に探していきます。
まず0手RZP。UD面はDR-0e5c、RL面はDR-6e5cであり、どちらもRZPにはなりませんでした。
続いて1手RZP。8パターンすべて確認したところ、Dした状態がDR-4e4cとなっておりRZPとして使えました。
最後に2手RZP。以下が見つかったRZPの一覧です
U L // DR-4e4c
L2 D // DR-4e4c
F2 R2 U // DR-4e4c
F2 B2 U // DR-2e4c
2手RZPの実践的な探し方ですが、R or Lでbadパーツの個数が変わると覚えておいて、U R, U2 R, U' R, D R, …といったようにU or D系を回してR or Lを回すというのを作業的に繰り返していくのが一番簡単かなと思います。COやbad edgeの個数をカウンティングするという方法もありますが、少し難しいので割愛。
ということで、このEOからはRZPが5つ見つかりました。このRZPを使ってDRを作りにいくことになります。
EOからRZPを作るステップは実際とても単純なものなのですが、全く知らない人から見るとどこを回せばRZPになり得るのかわからないのかもしれません。今回はそんな人向けにRZPの基礎的な知識をお教えしました。
RZPを作ったら次はDRを作りに行きます。
RZPからDRを作る方法についてはこちらの記事で説明しているので、よければご覧ください。RZPからDRを作る例 5選
それでは。