HTR後解法「ぺんすけ法」解説
こんにちは、うえしゅうです。
FMCの解法であるDomino Reduction(DR)において、HTR後LSまでの解法を作るのは少しだけ難しいです。
HTR後なので[U2, D2, R2, L2, F2, B2]のHalf Turnだけで揃えられ簡単そうにも見えるのですが、BBやFRなどで解こうとすると遠回りになってしまったりしてoptimalを見つけるのは難しいです。
しかし、今回紹介する「ぺんすけ法」を使えば思ったよりも簡単にHTR後optimalを見つけられてしまう事が多いです。
ぺんすけ法はその名の通り、FMC現日本記録保持者であるぺんすけ君が独自で考案し使っている解法になります。
今回はこのぺんすけ法の概要と使用方法について説明していきます。
前提知識
〇〇軸

上記の図の色がついているパーツに着目してください。1x3が計4つあります。
当たり前ですが、これらの1x3は[U2, D2]もしくは[F2, B2]では絶対に壊れませんよね?
しかし[R2, L2]では1x3は壊れ別の状態に変化します。
つまりこれらの1x3は[R2, L2]でのみ変化しうるということです。
このように、[R2, L2]でのみ変化するパーツ群のことをRL軸パーツと呼びます。また、そのパーツ群にあるペアやバーをRL軸ペア、RL軸バーと呼びます。

また、同様に上記の図の色がついている4つの1x3は、[U2, D2, R2, L2]では変化しないが[F2, B2]では変化します。
このように、[F2, B2]でのみ変化するパーツ群のことをFB軸パーツと呼びます。また、そのパーツ群にあるペアやバーをFB軸ペア、FB軸バーと呼びます。
1x3群のパターン一覧
ある軸の1x3群の状態は以下の11個に分類できます。
今回は便宜上RL軸で説明します。
| バー4つ | ![]() | |||
| バー2つ | ![]() | |||
| バー1つ | ![]() | |||
| ペア4つ | ![]() | ![]() | ||
| ペア2つ | ![]() | ![]() | ||
| ペア無し | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
ペア4つとペア2つは各ペアの配置によって2つに分類されます。
ペア無しは4種類あるのですが、ぺんすけ法の基本方針ではこれらを見分ける必要がないので大丈夫です。
2ペアの配置
ペア2つとペア4つのパターンは各ペアの配置によって2つに分類されます。ここではその2ペアの配置の名称を以下のように定義します。
- 2つのペアを同面に集めた時、その列が揃っている
- 2ペアの配置はgood
- 2つのペアを同面に集めた時、その列が揃っておらずNpermのような配置になっている
- 2ペアの配置はbad
この判断方法を使うと、ペア2つの2種類は以下のように分類できます。
| 2ペアの配置がgood (UF-UFRペアとUB-UBRペアは列が揃っているためgood) | ![]() |
| 2ペアの配置がbad (UF-UFRペアとUB-UBLペアは列が揃っていないためbad) | ![]() |
また、ペア4つの2種類についても同じ判断方法で以下のように分類できます。
| 各面の2ペア全てがbadの配置になっているパターン | ![]() |
| 各面の2ペアのうち、1つでもgoodな配置があるパターン | ![]() |
ここまでがぺんすけ法の理解に必要な前提知識です。
ぺんすけ法の解き方の概要
上記で説明した通り、例えばRL軸の1x3群は状態が11パターンあり、[R2, L2]によって状態が変わっていき最終的にバー4つになればその軸は完成です。
ここで重要なのは「ある軸の1x3群のパターンを見るだけでその軸を揃えるのに必要な軸回転の最低回数がわかる」ということです。
例えばバー2つの状態は解くのに必要な軸回転の最低回数が3回とわかっています。(3スライスと呼びます)
HTR subsetsのqtの概念を思い出してもらえるとわかりやすいですが、あれと全く同じ考えです。ぺんすけ法には11個のsubsetがあり、それぞれ必要な最低スライス数があって、スライス数を減らしながら解いていくという流れです。
ぺんすけ法の場合HTR subsetと違ってFB軸とRL軸という2つのsubsetがあるので、両方をうまい具合に減らしていくことになります。
バーを作るためにスライス数を減らしていく(Reduction)解法なので、「Bars Reduction」とも呼ばれています。
各subsetの定義と遷移
各subsetの名前は以下の通りです。最初の2文字がバーの数・ペアの数などを表し、最後の数字が必要スライス数を表します。
- 4B: 4バー
- 2B: 2バー
- 1B: 1バー
- 4P: 4ペア
- 2P: 2ペア
- 0P: 0ペア
- HL: 0ペアかつHead Lightあり
| 0スライス | ![]() | |||
| 4B0 | ||||
| 1スライス | ![]() | |||
| 4P1 | ||||
| 各面の2ペアのうち 1つ以上goodな配置がある | ||||
| 2スライス | ![]() | ![]() | ||
| 2P2 | HL2 | |||
| 2ペアの配置がgood | ||||
| 3スライス | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| 2B3 | 2P3 | HL3 | 0P3 | |
| 2ペアの配置がbad | ||||
| 4スライス | ![]() | ![]() | ![]() | |
| 1B4 | 4P4 | 0P4 | ||
| 各面の2ペア全てがbadの配置 |
また、各subsetの遷移図は以下の通りです。
遷移図を元に適切な位置でスライス数を減らし、少ないスライス数のsubsetに持ち込みます。

引用: FMC Pensuke Method Analyzer - kusano
各subsetの解き方
各subsetの解き方を説明します。
4B0

既にバーができていてこれで完成です。おめでとうございます。
ただしある軸が4B0であっても別軸の状態が悪いとこれを崩して4P1にしないといけない場合もあったりします。
4P1

各面の2ペアの配置を全てgoodにしてからそれらを保存するようにスライスを回すと4B0になります。
2P2

2ペアを同面に集めてそれらを保存するようにスライスを回すと4P1か2B3のどちらかになります。
2B3になってしまう場合、2ペアを集める面を現在の隣接面に変えるとスライスで4P1になります。
2B3

2バーを同面に集めてスライスを回すと2P2になります。
2P3

2ペアを同面に集めてスライスを回すと2P2か1B4のどちらかになります。この時にどちらかのペアが必ず崩れます。
1B4になってしまう場合、2ペアを集める面を現在の隣接面に変えるとスライスで2P2になります。
既にできているペアを崩しちゃってもいいの?と思うかもしれませんが、2P3は2ペアの配置がbadのため一方を崩さないとスライス数が減らないのです。これがbadな配置と呼ばれる所以です。
1B4

スライスを回すと必ず2P3になります。
4P4

スライスを回すと2B3か2P3のどちらかになります。どちらになってもスライスは減っているので、どちらを選んでも大丈夫です。
ペア無し(HL2, HL3, 0P3, 0P4)




ペア無しは必ず1スライスでペアのあるスライス数の減ったsubsetに変化するので、とりあえずペアを作りに行くだけで大丈夫です。
例えばRL軸でペア無しだった場合、R2もしくはU2 R2でペアのあるスライス数の減ったsubsetになります。
解き方の例
例として以下のスクランブルで解説します。
スクランブル: B2 L2 B2 L2 D2 B2 D2 L2 B2 D2 F2 R2 L2

まずは各軸のsubsetを判定しましょう。
- FB軸: 2P3 (U2すると2ペアがbadの配置)
- RL軸: ペア無し
次にそれぞれの軸のスライス数を減らしていきます。今回はFB軸から解いていきましょう。
FB軸は2P3なので、2ペアを同面に集めてスライスすれば2P2か1B4になります。
同面への集め方はU2してL面、R2 or L2してUD面の2パターンあります。
R2 or L2はRL軸の状態を変えてしまうので一旦U2の方を見てみましょう。
U2してL面に集めてからF2してみると2ペアの配置がgoodな2P2になりましたね。成功です。

解法: U2 F2
次もFB軸で考えてみましょう。2P2なので2ペアを同面に集めてスライスすると4P1か2B3になります。
同面への集め方はU2してR面、R2 or L2してUD面の2パターンあります。
先程と同じく一旦U2の方から見ます。
U2してR面に集めてから2ペアを保存するようにB2してみるとペアが4つになり、R面とL面がgoodな配置になっているので4P1になっています。成功です。

解法: U2 F2 U2 B2
FB軸が4P1になったのでこれを4B0にしてFB軸を揃えてみましょう。R2で全ての面の2ペアをgoodの配置にしてF2を回すと4B0になります。
しかしここで思い出してください。FB軸とRL軸の両方を4B0にしないとキューブは揃わないのです。今RL軸を見ると2P2の状態になっておりこれはRL回転のみでは揃えることができません。つまりFB軸を4B0にしたのにも関わらず、この状態はFB回転がまだ必要な状態なのです。
こういう時は解法を少し戻って修正していけば大丈夫です。先程回したR2 F2を戻してFB軸を4P1に戻してください。
さて、次はRL軸を解いていきましょう。
RL軸はペア無しなので、R2 or U2 R2を回してペアができるか試してみましょう。R2を回すと2ペア出現し、配置がgoodなので2P2となります。これを使いましょう。(ちなみにL2を回しても2P2になります)

解法: U2 F2 U2 B2 R2
ここで再度FB軸を見てみると、F2で4B0になりますね。しかしF2を回してみてもやはりRL軸がRL回転のみで揃う形ではありませんでした。一旦F2を戻します。
RL軸を見てみると2P2かつ2ペアが既に同面に集まっているので、L2回せば4P1か2B3になりますね。L2を回してみたら4P1でした。ラッキー。

解法: U2 F2 U2 B2 R2 L2
FB軸もRL軸も4P1になっています。4P1は全ての面の2ペアの配置がgoodであればスライスで4B0になるのでした。FB軸を見てみるとR2 or L2で配置をgoodにできますが、それをするとRL軸のペアが崩れてしまいます。なので却下。
RL軸の4P1はU2 or D2で配置がgoodになりますね。どちらでもいいのですが、U2すると実はLSがセンターE2ズレになってしまうことがここでわかります。なのでLS後のわかりやすさ優先でD2にしましょう。
D2後L2でRL軸が4B0になりました。もう後はわかりますね。F2をすることでFB軸も4B0になり、LSが完成しました!

解法: U2 F2 U2 B2 R2 L2 D2 L2 F2
ちなみにこの9手がHTR後optimalの解法となります。
解き方のコツ
ぺんすけ法を使う際の簡単なコツを2つ紹介します。
2x2ブロックは保存する

2P3や4P4のようにbadな2ペアがあった場合どちらかを崩すことになるかと思いますが、もし2x2ブロックがあった場合はそれを残して別のペアを崩しにいったほうがその後良くなることが多いです。
センター抜け2x2ブロックは崩す

センター抜け2x2ブロックとは、ペアが2つ隣接しているけどセンターが違う色である状態です。
先程と同じく2P3や4P4のようにbadな2ペアがあった場合どちらかを崩すことになるかと思いますが、もしセンター抜け2x2ブロックがあった場合は必ずその側のペアを崩してください。
センター抜け2x2ブロックはそれを崩さずに完成状態に持っていくのは理論的に不可能なので必ず崩さないといけないブロックと覚えてください。
あるルートが無理そうだと感じたら一旦戻る
スクランブル: B2 D2 L2 U2 L2 U2 B2 R2

このスクランブルはFB軸が2P2、RL軸が2P3です。
RL軸の2P3を解くためにL2して2P2にします。ここから進むにはF2でFB軸を4P1にするかU2 R2でRL軸を4P1にするかしか選択肢がないですが、どちらもセンター抜け2X2ブロックができてしまうので詰んでしまっているように思えます。
こういう時は数手戻して別ルートで解いてみるのが良いです。RL軸の2P3はR2でも2P2にできるので、L2を戻してR2を回します。するとB2でFB軸が4P1に、U2 L2でRL軸も4P1になり、F2 D2 R2 U2でLSが完成します。
このように、あるルートで行き詰まった場合は数手戻って別ルートを見てみるのをおすすめします。
ただ、どうあがいても行き詰まってしまうケースもあるのでそれは後述します。
どちらの軸から解くか
UD面DRの場合FB軸とRL軸がありますが、基本的にどちらの軸から解いていってもいいです。FB軸→RL軸→FB軸、と行ったり来たりしても大丈夫です。
一応基本方針としては、スライス数の多い軸から解いていったほうが解を見つけやすい気がします。(経験談)
また、一つの軸をずっと解いていてそれが4B0まで到達してしまった場合他の軸が悪いと4B0を崩さないといけなくなりがちなので、解くとしても4P1で止めておいたほうがいいことが多いです。(これも経験談)
どうやっても解けない場合
実はHTRの状態が悪いとスライス数を減らして解くことが不可能な場合が存在します。
スクランブル: M' E2 M

例えばこの状態は両軸ともに4B0になっているのですが、全てセンター抜け2x2となっているので崩してスライス数を増やさないと解くことができません。
スクランブル: F E2 F2 E2 F

また、この状態はFB軸が4B0になっていますがRL軸の状態が悪くFB軸を崩さないと解けない配置になっています。
このようなスライス数を増やさないといけない場合はHTR全体の4割ほどあるようです。
参考リンク: 見積もりと実際の手数 - kusano
これがぺんすけ法の最大の弱点です。スライス数を減らすという基本方針では解けない場合があるのです。
こういう場合は大体手数の長いHTRになっていることが多いので、そのHTRを捨てて別のHTRを探しにいくのがベストかなと思います。
もしどうしてもこのHTRを解かなきゃいけない!という場面に遭遇したら、FRを使って解を作るのが一番無難かなと思います。
ぺんすけ法のメリット・デメリット
メリット
HTR後optimalを出しやすい
ぺんすけ法は普通に解くだけでHTR後optimalを導き出せる確率が非常に高いです。特に7手以内の簡単なHTRだとほとんど確実にHTR後optimalを出すことができます。
悪い状態を切り捨てやすい
例えばFB軸が4スライスだった場合、[FB軸] [他の回転] [FB軸] [他の回転] [FB軸] [他の回転] [FB軸]が考えうる下限手数の解法なので、必ず7手以上かかることが見た瞬間にわかります。しかも7手"以上"なので、実際に7手になることは稀で大体8手以上かかったりします。
つまり、ある軸が4スライスであればそのHTRは手数のかかるHTRなので捨てる、ということが可能なのです。
自分は4スライスの軸があった場合、どうしてもHTRを解かないといけないという時以外はほとんど解かないです。
デメリット
素直には解けない場合がある
これが最大のデメリットですね。上述したようにスライス数を増やさないと解けない場合が思ったよりあります。
ただ、そういうHTRは基本捨てなので、簡単めなHTRを素早く解いてoptimalを出すという点に限ってはぺんすけ法は最強だと思います。
HTR breakingトリガーを考慮できない
スクランブル: F B R2 F' B'

この状態はFB軸が4スライスなんですが、F B R2 F' B'というHTR breakingトリガー(HTRを崩すトリガー)を使うと5手で解けてしまいます。
このようなHTR breakingトリガーを考慮してぺんすけ法を使うことは現状できないのがデメリットになります。
逆に言うとぺんすけ法で悪い状態と判定されてもHTR breakingトリガーを使えばあっさり解けることも稀にあるので、興味のある人は試してみてください。
おわりに
長くなりましたが、ぺんすけ法をDRユーザーに向けて紹介してきました。
DR初心者はまずFRを学んでHTR後を解いていると思いますが、FRだけではHTR後optimalを出しにくいです。
今回紹介したぺんすけ法はHTR後optimalを出せる確率が非常に高いので、DRで25〜30手あたりまで成長したDRユーザーには強くおすすめしたい解法です。
みんなもぺんすけ法を学んでDRで圧倒的成長しよう!
それでは。