SASUKEから学ぶスピードキューブの本番力

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こんにちは、うえしゅうです。

 

皆さんは「SASUKE」を知っていますか?

年に1回、最近だと年末にやっているスポーツバラエティ番組です。4つのステージがあり、それらを全てクリアすると完全制覇となります。

SASUKEはもう20数年の歴史があり、参加者は延べ4000人を超えていますが、完全制覇を達成したことがある人はたった4人しかいません。

そのうちの一人である「サスケくん」こと森本裕介さんはその完全制覇を2度も達成されています。

年に1回しかない、しかも一発勝負の場でこれだけ結果を残しているというのはまさに「本番力」が高いと言えるでしょう。

今回はその森本裕介さんのメンタル論や本番に向けての準備などを紹介し、それらが我々スピードキューバーの大会に向けての取り組みにどのように活かせるかを自分なりに解説します。

 

本番に向けての準備

森本さんは他のSASUKE選手以上に準備を周到にすることで知られています。

例えば、森本さんはSASUKE第36回大会でただ一人Finalステージに進みました。その大会は1st~3rdステージの収録日程とFinalステージの日程がかなり空いており、Finalステージは横浜赤レンガ倉庫前に建てられたセットで大晦日に生放送されるといったとんでもない回でした。

森本さんは大阪の方なので横浜は土地勘がないということで、横浜に自分がいるということを普通の状態に思わせるためになんと大晦日の4日前から横浜のホテルで過ごしていたそうです。その4日間は毎日収録予定時刻に赤レンガ倉庫の前に行って、観光客が行き交う中アップとイメトレをしてホテルに帰っていたそうです。

これだけでも意味がわからないのですが、森本さんはさらにみなとみらいの観覧車に一人で乗って、Finalステージの頂上から見る景色をイメージしていたそうです。もちろん年末のみなとみらいはカップルや家族連れで賑わっているので、ベンチコートを着て一人で観覧車に乗るのはさぞかし目立つことでしょう。

これらから学べることは、本番で結果を出したいのであればイメトレと準備がとても大事であるということです。キューブであれば「大会に行ったら自分はこういう気持ちになるだろう」とか「試技台に座って試技を始める時はこのくらい緊張するだろう」というのを事前にイメージしておけば、実際にそのような場面が来ても必要以上に動揺したりせずに自分の本来の実力が出せるでしょう。

また、森本さんは第38回大会のFinalステージのサーモンラダー15段というエリアで片掛け状態になりながらも動揺せずにそれを一瞬で直し、そのまま完全制覇を成し遂げました。後々インタビューを聞いてみると、なんとサーモンラダーで片掛けになった状態からすぐに戻す練習をもしていたそうで、そのおかげで気持ちがブレることなく戻せたのだそう。

キューブで言うと、大会でF2Lを間違えて入れたら動揺してソルブが総崩れしがちですが、F2Lを間違えてもその後がうまく行けばマシなタイムは出るからそういう時こそ冷静になろう、と事前に意識しておくことで大会でミスしてもリカバリーできるのではないかと思います。自分も去年自身初の3x3 avg sub9を出した時の4試技目がまさにその状況で、冷静になるという意識でなんとか持ちこたえました。

キューブの大会に限らず何かの一発勝負の場で一番重要なのは「メンタルをできるだけいつも通りの状態に持っていく」ことです。いつも練習で10秒が出る人なら、練習と同じメンタルで臨めば大会でも10秒が出せるはずです。それが大半の人ができないのはやはり大会という場の異質感、予測不可能なことが起こった時の動揺などが原因でしょう。もちろんそれらを完全になくして練習と同じメンタルで臨むのは不可能ではあるのですが、大会で起きる様々なことを事前にイメージし、もしこんな事が起こったらこうしようと準備したりすることでメンタルのブレを低減できるのではないかと思います。僕はこれを「大会を知る」ということだと思っています。

大会を知る、という意味では経験もとても大事です。何度も大会に出ていれば自ずと大会に出た時の自分の気持ちもイメージしやすくなります。大会常連が好記録を出す人が多いのは実力があるからでもありますが、単純に大会慣れしていて気持ちのブレが少なくいつも通りの実力を出せているからなのかもしれません。大会でなくても人前でキューブを解くという経験は大会に近いので、経験の少ない方はオフ会に出て計測会に参加しみんなの前でソルブするのもいいでしょう。

 

本番に対するメンタル論

SASUKEというのは自然との戦いでもあります。会場である緑山は屋外なので、収録日に雨が降ろうが台風が来ようが収録は行われるのです。

1年にたった1回の出場チャンスが雨の中での出場だったらどうしますか?ローリングヒルで滑って落ちてしまうかもしれないし、反り立つ壁で滑って登れないかもしれません。多分悪天候を恨む人が多いのではないかと思います。

そんな中、森本さんの考えは「自分がコントロールできることだけに集中する」です。雨が降っているのは自分がコントロールできる範囲外の出来事です。「雨で滑って落ちてしまったらどうしよう」と考えるのは自然なことですが、それはもう自分のせいではなく雨のせいなので仕方ないと捉えるべきです。本番で大切なのは一年間頑張ってきた自分の力を最大限発揮することなので、「天候がどうなろうがそれは仕方のないことだ。自分は自分の力を最大限発揮することだけに集中しよう」というマインドが森本さんの強みでした。

(このエピソードは以下記事より引用: サスケ君のSASUKE勝利学 第6回)

この考えはキューブの大会にも大きく活きてきます。例えばavg PRのかかった5試技目で「次良い記録を出せばPRだ」と思うことって実はソルブに悪影響でしかないのです。変に意識してしまって力んで先読みができなくなる経験は誰しもが持っていると思います。

5試技目に良い記録が出るかは自分にもわかりません。緊張してしまうのは本能的なもので、自分のことだけれど自分でコントロールするのはほぼ不可能です。ただ、5試技目のソルブを良いものにしようとする意識は自分が唯一コントロールできることだと思います。なのでそういう緊張しているときこそ「F2L-1をしっかり読もう」とか「F2Lの先読みをしっかり意識しよう」というごく基本的なことだけ意識していれば自ずと結果はついてくることが多いです。

まっさんもルーティンの記事で似たようなことを言っていました。(あなたのパフォーマンスを向上させるかもしれない「ルーティン」に関するお話)

まず「sub◯◯秒したい」「入賞したい」「NRを取りたい」「PRを更新したい」「PBが出ればWR◯になる」「隣の人より速いタイムを出さないと入賞できない」「次◯◯秒だしたらmean更新だ」「前の人がどれくらいのタイムを出してるか気になる」「◯◯さん見てるかな」「旅費が往復10万もかかった」「次の大会があるか分からない」「絶対に失敗できない」…自分は大会中常にこういう不安や期待に支配されがちなのですが、このような思考は競技の特性上ソルブに一ミリも関係なく、むしろ足枷にしかならないので試技の前後には考えないようにしてます。キューブは短い手数で速く指を動かせば速く解けるので、指の状態やソルブの内容のことだけに集中している状態がベストだと思ってます。

まとめると、自分がコントロールできない部分に対する不安はどうしても拭えないので、それらは仕方ないと割り切って自分がコントロールできることだけを意識することが重要、ということですね。

 

終わりに

キューブ界には実力はあるけど大会ではなかなか実力を出せない、という人がたくさんいます。僕は大会というのは全員の家での実力を反映する場所であってほしいと思うのですが、大会という一発勝負の性質上「大会」というものの戦い方を知らないと実力を発揮するのが難しいのが現状です。

SASUKEは究極の一発勝負と言われています。年に一度しかない大会で、落ちたら即終了かつ即帰宅です。そんな残酷な大会だからこそ、そこで活躍している選手達からは我々スピードーキューバーにとっても学べるものが多いです。

キューブの大会でしっかり実力を発揮できるようになりたいと願うキューバーにこの記事が参考になることを願っています。

 

それでは.